Business Trend

2011/4/20

BPOのサクセスポイント

第1回 CS向上のためのサクセスポイント

2011年3月11日に起きた東日本大震災により、被災された皆様におきましては、心からお見舞い申し上げます。これからも、長くつづく復興への道のりを、企業として、個人として精一杯支えてまいりたいと思っております。1ヶ月あまり経過した今も、被害の全貌が見えないということから、この震災が日本経済、産業界にもたらした、そして今後もたらすであろう打撃は甚大であり、市場への影響も多大なものとなると予測されています。一方で、これまで一長一短には進まないと思われてきた構想や新ビジネスが加速化するような流れ、古い価値観やビジネス想念が転換を求められる風潮も感じ取ることができます。

ソーシャルメディアで、瞬時に広がる、顧客対応への不安

1. BCP(事業継続計画)の必要性から、コールセンター、業務センターなど顧客対応部門を、首都圏からニアショア(地方都市など」を読む移動する動き 2. Twitterをはじめとするソーシャルメディアの急速な普及がもたらす顧客対応への変化

災害後、顧客対応に関する以下の2つの動きが加速しました。
上図2については、災害時の安否確認が携帯電話では取れなかったことから、ソーシャルメディアの企業での利用も相次ぎ、また、首都圏では電車の運行情報や計画停電の情報をTwitterから取得するといった個人の動きも増加しました。ニールセン・ネットレイティングス (Nielsen/NetRatings) が提供するインターネット利用動向調査「NetView」によれば、地震の影響で訪問者数を伸ばしたニュースやインフラ関連以外のサイトとして以下のようなソーシャルメディア関連サイト閲覧者数の増加がみられるという結果も出ています。

−地震の影響で訪問者数を伸ばしたその他のサイト(増加率順)−(2011年2月28日~3月13日、家庭と職場のPCからのアクセス 週間データ)

−地震の影響で訪問者数を伸ばしたその他のサイト(増加率順)−(2011年2月28日~3月13日、家庭と職場のPCからのアクセス 週間データ)

*3月29日発表 ネットレイディングス株式会社 プレスリリースより抜粋

一方で、福島原子力発電所の事故を発端とする様々な「風評被害」や「デマ情報」「チェーンメール」といった問題点も露呈し、混乱を防ぐため政府の情報規制の動きも出ました。

このような一連の動きから、ソーシャルメディアが想定以上に急速に発展し、今後も情報収集のツールとして消費者やビジネスの現場で利用されることは想像に難くありません。例えば、コールセンターや、コンタクトセンターでのオペレーターの対応一つをとっても、悪い情報も良い情報も、瞬時に何百人何千人単位にまで広がってしまうということになります。今後、スマートフォンやタブレット携帯などの普及が加速すれば、さらにたくさんの人が、「顧客の声」に耳を傾け、企業を瞬間的に評価する事になると思います。

このように急速に社会環境が変化している中で、各企業もこれまでの「CS向上」策では、説明できない現象に困惑しています。そこで我々はクライアント企業に対して、新たな「CS向上」のアプローチである、「D-SATリダクション」を提唱しています。

顧客満足度(CS)に関する疑問

これまで様々な顧客サポートのアウトソーシングを提供させていただいてきた経験から、以下の疑問点が浮上してきました。

1. 改善を続ければいつかCSが100%になるのか? 2. 昨年と同じ品質で、製品やサービスを提供しているのに、CSが悪化するのはなぜなのか? 3. CS倒産という衝撃的な言葉があるように、CSが向上しても売り上げが伸びない場合があるのはどうしてか? 4. CS調査の結果は、本当に顧客の総意ということができるのか?

「それでも、なぜCS向上を目指すのか?」と顧客企業担当者に問うと、必ずと言ってよいほど「企業収益の向上のため」と答えが返ってきます。このように「CS向上=収益向上」といった、「CS神話」は企業に根強く残っています。これは実は、1990年代後半に日本に輸入されたCRMの理論を前提条件にしているからです。

そもそもCRM(customer relationship management)とは、「既存顧客の生涯価値向上を目指し、顧客との良好な関係性を維持・管理すること」平たく言うと、顧客情報をデータベース化し、囲い込み、生涯における総商品購買量の向上を図ることを目的としています。そのためには「顧客にずっと会社のファンでいてもらう」ということが必要になってきます。そこで企業は、今この時点で、顧客は自分たちのファンでいるのか否かを調べるために「CS調査」を実施するようになったのです。

しかし、2005年に施行された、「個人情報保護法」により、個人情報を漏洩した企業に対する社会的責任は一気にクローズアップされました。つまり企業にとって、その顧客情報が詳細であればあるほど、その管理はリスクを伴うものとなったのです。そして、現在では、できる限り詳細な個人情報は長期間保持しない方向へと移行せざるを得なくなりました。つまり、本来のCRMの取り組み自体が機能しなくなったにも関わらず、なぜかCS調査だけが残ってしまったのが、我々を取り巻く、現在の日本の状況なのです。

では、その調査対象である「CS」の正体について考えてみましょう。「CS」とは商品やサービスへの期待値より顧客の実感が大きい時に「満足」、さらに大きいと「感謝」となり、逆に小さい時に「不満」、さらに小さいと「怒り」となります。しかしながら顧客の期待値には個人差があるため、同じ製品・サービスを提供しても人により、満足に感じるかどうかはわかりません。つまり、前述した「様々な疑問」が生まれ、「CS」の正体は、「かなり曖昧でアナログ」な指標という事がわかります。では、企業収益を向上させるにはどうしたら良いのでしょうか。

不満をほうっておくと売上は確実に落ちる

1. とても満足:10%(推奨・紹介をする) 2. やや満足:25%(条件次第で他社にかえるかもしれない) 3. どちらでもない:45%(同上) 4. やや不満:15%(ぐちる) 5. とても不満: 5%(二度と買わないといい、他人に解約を勧める)

少々乱暴ですが、顧客を、満足度で分けると以上の5つの客層になります。
この中でCS調査に答えてくれるのは1の満足している層か5のとても不満な層に片寄るといったことがわかっています。つまり、3の層については、答えてさえくれないのです。また、「ロイヤリティ・カスタマー」といわれる、1の「とても満足」な層を維持拡大するには、膨大なコスト、時間…が必要になります。なぜなら、満足している人は、なぜ満足しているのか?その理由をわざわざ声に出して言うことが少ないため、本質的な満足を把握することが困難だからです。

一方で、不満を持つ人、特に5の「とても不満」な客層は会社に「二度と買わない」とクレームを言ってくる客であり、「なぜ、不満につながったのか」を明確に発言してくれます。つまりこの「本質的な不満」の要因を分析して、すぐに対策を打つことができれば、顧客の離反の拡大を防ぐことができます。つまり、満足している客層よりも、不満の客層の声を把握する事のほうが簡単であり、対策も具体的なのです。

さらに、上の分類でいう、「1から3の客層」は、個人の状況(収入の変化等)が変わることにより、他社製品にスイッチすることがありますが、「4~5の客層」は個人の状況が変わったとしても決して帰ってくることはありません。つまり、企業収益に影響を及ぼすのは一見「満足している顧客」と思われがちですが、中長期的には「不満の顧客」であると言う事ができます。

グッドマンの法則によれば、不満のある顧客一人あたり、平均9~10人に不満をもらし、うち13%は20人以上に不満を漏らすといいます。さて、この情報はソーシャルメディアの発達する前の研究データですから、TwitterやSNSといった匿名性が高く、一気に情報の拡散が狙えるメディアでの影響は、計り知れません。さらに、わざわざクレーム電話をかけてくる顧客は不満をもっている顧客のうち4%しかいません。つまりその後ろには、たくさんの「不満」が隠されているというわけです。

また、同様の調査では、クレーム1件につき24倍の同様の顧客が潜在的に存在するという事がわかっています。これは、「不満を持っている顧客」のうち、わざわざ企業に電話をかけて、クレームを発言していただける、「貴重な顧客」は4%しかいないことを指します。つまり「不満を持っている顧客」の96%は、毎年、「黙って去っていく」というわけです。今日もネットワーク上では、不満を持った顧客が、Twitterや、口コミサイトで不満をつぶやいているかもしれないのです。つまり、早急に「不満」を解決しないと、顧客の離反は拡大しつづけて、いつの間にか商品が売れなくなるという結果をもたらすのです。

当社には、不満足な顧客を離反させないための「D-SATリダクション」という手法があります。具体的な事例を含めて、ご紹介していきますので続きをご覧になりたい方、詳しく知りたい方は、下記問い合せフォームよりお気軽にご連絡ください。

中島 英也 SCSKサービスウェア株式会社 執行役員 クロスセル・成長戦略担当

中島 英也

SCSKサービスウェア株式会社
執行役員 クロスセル・成長戦略担当

1986年コンピューターサービス株式会社(現SCSK株式会社)に入社。
1998年より株式会社CSKコールセンター沖縄の設立準備に携わり、沖縄でコンタクトセンター事業を軌道に乗せた。
2009年よりSCSKサービスウェア株式会社執行役員、現在に至る。HDI(ヘルプデスク協会)アカデミー、社団法人総合研究フォーラム、大阪家庭薬協会などにて「D-SATリダクション(不満の削減)」に関する講演歴多数。

サービスに関するご相談は… 電話 03-6890-2540 9:00~18:00(土日祝日を除く) お問い合わせフォーム


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