auじぶん銀行株式会社 様
金融サービス仲介業者のSCSKサービスウェアに業務委託し、急伸する住宅ローン融資の審査業務を効率化
コスト最適化,プロセス可視化,CX向上,BCP,コンタクトセンター
住宅ローン事業が急成長を遂げる中、auじぶん銀行もその波に乗り、他行と比べて最大の成長率を誇っています。その一方で、業務量の増加に伴い、住宅ローンセンター(お客様の問い合わせ対応と住宅ローンの申し込み・審査業務を担う窓口)ではリソースの確保が難しくなり、今後のさらなる事業拡大を見据えて早急な対策が求められていました。
そこでauじぶん銀行は、住宅ローンに関する問い合わせ対応とバックオフィス業務をワンストップで提供できる金融サービス仲介業者のSCSKサービスウェアにアウトソースすることを決断。半年で業務を立ち上げるとともに、住宅ローン審査の業務プロセスも改善したことで、auじぶん銀行の負担を軽減し、住宅ローン成約率も向上させています。
課題
- 住宅ローン事業の拡大に伴ってリソース(人員とスペース)が不足していた。
- 外部委託を検討していたが、法的な制約によりアウトソーシングが難しかった。
- 都心で災害が発生した場合のBCP(事業継続計画)が必要だった。
ソリューション
- 金融サービス仲介業者だから可能な住宅ローンの申し込み・審査に対する業務のワンストップ・アウトソーシング。
- 業務プロセスコンサルティングサービス「B-RAP」 による業務プロセスの見直しと、高品質のナレッジ構築による業務効率の向上。
- auじぶん銀行内製センターとは離れた場所でアウトソーシングを実施し、一方が被災しても事業継続を可能に。
効果
- 業務委託を決定してから6カ月の短期間で立ち上げを実現。
- 住宅ローン審査期間のリードタイムが2日短縮 、成約率は3%増加(前年同期比)。
- 住宅ローンセンターの運用コストを20%削減。
住宅ローン融資実行額が7カ月で1兆円に到達
しかし内製のリソースがひっ迫する状況に
事業概要と現在の注力分野について教えてください。
auじぶん銀行は、KDDIと三菱UFJ銀行によって設立されたネット銀行です。
2024年4月には金融口座数が600万口座、預金残高は4兆円を超えるなど、事業は順調に推移しています。
昨今では住宅ローン融資に注力しており、2024年6月には融資実行額が累計4.5兆円を突破しました。これは、携帯電話やインターネット回線などKDDIグループが提供する各サービスを利用すると金利が優遇される「住宅ローン金利優遇割」を前年9月に開始したことが大きいです。暮らしに必要なサービスと絡めた割引を組み込み、お客様の生活に伴走したサービスを用意したことが功を奏し、申し込みが急増、11月からの7カ月間で1兆円の伸びを達成しました。
そのように好調な住宅ローン事業では、どういった課題を抱えていたのでしょうか。
auじぶん銀行は都心に住宅ローンセンターを構え、約200人体制でお客様から問い合わせ・申し込みを受け、審査から融資までを行っています。しかし、事業が急伸したことで人員とスペースの確保が難しくなりつつありました。住宅ローン業界は全体的にアナログで、関係が深い不動産業界でもFAXが主要ツールな状況であり、我々銀行だけがテクノロジーを押し出す訳にはいきません。そのため自助努力だけでは効率化が進まず、ビジネスを伸ばすとアナログ業務も増えて人と場所がさらに必要になる、というジレンマに陥っていました。
そこでどのような対策を検討されたのでしょうか。
アウトソーシングは以前から検討してはいたものの、銀行代理業の資格を持っている事業者でないと住宅ローン商品の販売業務を委託できないという法的な制約があり、実施には至っていませんでした。さらに、我々は長期的な品質向上に取り組み、auじぶん銀行が運用している住宅ローンセンターとお客様相談センター、カードローンセンターの3つのコールセンターは、HDI※が行う格付け調査の2部門で3年連続最高評価を獲得するなどの実績を有しています。
そういった法的な制約と品質の両面から考えて、我々の業務はアウトソーシングできないだろうと考えていました。しかし、この制約をクリアできる金融サービス仲介業という制度が創設されたことを受け、住宅ローン審査業務のアウトソーシングを本格的に検討し、SCSKサービスウェアへ業務を委託することになりました。
- HDI(Help Desk Institute):1989年に米国に設立されたITサポートサービスにおける世界最大のメンバーシップ団体
業績向上を視野に入れた、一歩踏み込んだ具体的な提案が決め手に
検討段階では5社に声をかけたと伺っています。その中でSCSKサービスウェアを選んだ理由を教えてください。
いち早く金融サービス仲介業の登録を取得していたことと、我々のRFP(提案依頼書)に込めた期待を超える提案をしてくれたのが大きいです。我々が業容拡大や審査スピードの強化を目指したことを受け、SCSKサービスウェアが業務プロセスを調べ上げて改善ポイントを見つけてくれました。加えて、住宅ローン審査業務を土日も行うことでリードタイム短縮の可能に。そうすると住宅ローンの成約率や収益の向上にもつながるというように提案に具体性があったことが決め手となりました。
業務委託にあたってのスケジュールと、移行プロセスを教えてください。
2023年6月に委託が決まり、7月にSCSKサービスウェアの担当者が業務調査を開始して移行計画を作り、10月からオペレーターに我々のセンターで業務を経験してもらいました。そして翌年1月からはSCSKサービスウェアのBPOセンターで半分くらいの業務量から委託を開始しています。「auじぶん銀行とSCSKサービスウェアの両センターで並行稼働させることが安全かつ素早い立ち上げにつながる」とご提案いただいたので、当初は新年度からスタートだった委託を繰り上げて開始しました。繁忙期である年度末に業務をアウトソーシングでき、売上にもつながりました。
業務品質について不安はありませんでしたか。
事前に調査してもらった内容を業務プロセスに落とし込んでいく工程があったのですが、テキスト化やマニュアル作成の精度が高く、さらにその過程には無駄をそぎ落とす作業も含まれていたので、不安がなかったのはもちろんのこと、プロセス自体の改善にもつながり大変感謝しています。また、SCSKサービスウェアの方々はコールセンターとしてお客様の前に立ちながら、その中で寄せられた声をサービス向上に活かしており、それも業務向上につながっています。
住宅ローン成約率が向上し、センターの運用コストも20%削減
委託後の具体的な成果について伺えますか。
定量面では、委託後約6カ月で住宅ローンの審査期間が2日短縮され、成約率が前年比2~3%増加し、住宅ローンセンターの運用コストも20%削減できました。定性面では、人材管理の業務量が減ってセンター運営の負担が減りました。他の本来やるべき仕事に時間を割けるようになりましたね。また、委託によって確保できた自社の従業員を新規事業の立ち上げに充てられました。
SCSKサービスウェアのBPOセンターは、auじぶん銀行が内製したセンターとは物理的に離れた場所にあるため、仮にどちらかが災害に遭ったとしても事業を継続できます。加えて、戦略の策定にも参加してもらっており、SCSKサービスウェアが保有するナレッジやコールセンターで伺ったお客様の声をサービス向上に役立てられているのもメリットです。
今後のSCSKサービスウェアに対する期待をお聞かせください。
SCSKサービスウェアに業務をアウトソースしたことで、サービス品質が上がって効率化が進み、電話対応の応答率や住宅ローンの実行率も上がるという好循環が生まれました。今となっては、事業を拡大するためにアウトソーシングの活用を検討しない理由はないと感じており、他の部署への横展開も検討しています。今後はぜひ、SCSKグループならではのデジタル活用もご支援いただきたいですね。AIやITなどのテクノロジーを活用した改善はまだ不十分なので、その領域でも今後ご相談したいです。期待しています。
担当者からの一言
auじぶん銀行株式会社
執行役員 住宅ローン本部長 松田 明人 様
業務をアウトソーシングしたことで大きな成果を得ることができました。住宅ローン審査の業務プロセスも改善され、人員をフレキシブルに配置できるようになり、新しいビジネスを創出する余力も生まれました。
auじぶん銀行株式会社
住宅ローン本部 住宅ローンセンター長 安藤 毅 様
プロの目線でしっかりセンターを運営してもらえているので、安心して業務をお任せできています。その分、住宅ローンのお客様を増やすための事業戦略策定に時間を費やせるようになりました。
auじぶん銀行株式会社
住宅ローン本部/住宅ローンセンター マネージャー 松本 英之 様
今まで人員を確保するために10社もの派遣会社とやり取りをしていましたが、その時間が減り、現場のスタッフだけでなく私自身の負担も軽減されたように感じます。
ABOUT auじぶん銀行株式会社
auじぶん銀行株式会社
「日本初のモバイルに特化した質の高い金融サービスを提供し、お客さまに最も身近な銀行になる」という創業の思いのもとに、2008年設立。モバイル特化型ネット銀行として誕生し、2024年4月には預金口座数が600万口座を超え、6月には住宅ローン融資実行額が累計4.5兆円を突破するなど右肩上がりで業容が拡大している。
2024年9月 現在