株式会社モスフードサービス 様

自社のニーズにあった「VOC分析レポート」により、お客様の声を店舗運営や商品開発に生かせる組織風土が定着

プロセス可視化,属人化解消,データ活用,CX向上,BCP,コンタクトセンター

日本生まれのハンバーガー専門店「モスバーガー」を展開するモスフードサービスは、2022年に創業50周年を迎えました。お客様とのコミュニケーションを大切にしてきた同社ですが、お客様相談室の属人化と人手不足を解消するとともに、お客様の声を経営に生かすための仕組みづくりを強化したいと考えていました。そこで、SCSKサービスウェアのコンタクトセンターサービスを利用するとともに、「VOC(Voice of Customer:お客様の声)分析レポート」の作成を委託。お客様の声をもとに店舗運営や商品をよりよくするためのサイクルを構築しました。


課題

  • お客様相談室の業務が属人化していた。
  • ベテランスタッフの定年退職を前に、生産性を維持できるスタッフの確保が必要だった。
  • リスク対策と顧客満足度向上のために、お客様の声を生かす運営サイクルをつくりたい。


ソリューション

  • お客様の声を一元管理して、"不満を減らす"仕組みと運用を導入。
  • お客様の声を集計・分析した「VOC分析レポート」を作成し、役員・部長層へ報告。
  • コンタクトセンター業務を最適化して、運営をアウトソーシング。


効果

  • お客様相談室の一部業務をアウトソーシングし、品質は保ちつつ、リソースを充足。
  • お客様の声を効率的・効果的に収集と集計・分析し、店舗運営に生かせる改善案を提案。
  • お客様の声を商品開発や店舗運営に反映させる組織風土を形成し、顧客からの不満の声が顕著に減少。

お客様相談室の属人化が課題となりアウトソーシングを検討

事業概要と特徴について教えてください。

モスフードサービスでは、“日本で生まれ、日本の味を大切にする”ハンバーガー専門店「モスバーガー」を展開しています。また、摘みたて紅茶と焼きたてワッフルのお店「マザーリーフ」など、モスバーガーで培ってきたノウハウを生かしたさまざまな事業を展開しています。経営理念に「人間貢献・社会貢献」を掲げていますが、これを支え続けるのは「感謝される仕事をしよう」という創業の心で、すべての思想・活動の源です。創業の心を大切にしながら「抜群なおいしさ」を求め続けた結果、お客様をはじめとするステークホールダーの皆様に支えられ、2022年に創業50周年を迎えることができました。

そうした中、お客様相談室ではどのような課題を抱えていましたか?

契約農家の野菜を仕入れて各店舗で仕込むなどのこだわりや商品力がモスバーガーの特色だと思っていますが、その商品を開発する過程や店舗運営ではお客様の声を大切にしています。お客様の声を正確に受け止めて店舗や関連部署に伝える役割を担うのがお客さまサポートグループで、いただいた声を分析して役員や各部門の責任者に提案しています。ところが、かつては貴重な声を生かし切れていませんでした。

お客様からのご意見や問い合わせは主にメールと電話でいただいていますが、2015年ごろまではメールの返信や集計・分析作業が属人化しており、ベテランのスタッフの差し迫る定年退職への対処も必要でした。また、お客様とのコミュニケーションに関する取り組みを長年続けてきた結果、業務が増え続けて複雑にもなっていました。店舗もお客様も増えていくなかで将来を見据えれば業務の効率化も必要です。そこで、お客さまサポートグループが運営する「お客様相談室」でのメール対応は、社外のプロフェッショナルに委託しようと数社に打診しました。

貴重なお客様の声を生かすための組織と仕組みづくり

なぜSCSKサービスウェアをアウトソース先に選ばれたのですか。

SCSKサービスウェアからは、かねてより業務フローの整理やマニュアル整備、アウトソーシングの活用について提案を受けていましたので、具体的に検討を始めました。当時は飲食業界全体がリスク対策を強化している時期でした。リスク・コンプライアンス室では、顧客満足度をさらに高めるためにも、お客様の声を関係者に伝えるだけでなく、実際に店舗の運用が改善された結果、不満の声が減るかどうか検証するところまで責任を持つべきだと考えるようになっていたところです。お客様相談室が対応メール返信業務に加えて、毎月の「VOC分析レポート」作成と報告会への出席も提案されたことが決め手となり、SCSKサービスウェアにお願いすることにしました。

VOC分析レポートには、どのような内容が記載されているのですか。

メールでの問い合わせ対応はSCSKサービスウェアに委託し、電話は当社の担当者が直接伺う体制を取っていますが、VOC分析レポートについてはメールと電話両方を対象にしています。レポートは集計結果に定量・定性分析を加えたもので、商品、接客、店舗設備といったカテゴリー別に月ごとの件数を集計したうえで、前月比、前年比の分析はトレンドを読むのに役立ちます。また、キャンペーン商品に関する声は別途、集計し分析しています。店舗ごとのPPM(Parts per Million:苦情発生率、100万件あたりの苦情件数の割合)と売上の相関も分析しており、店舗運営の改善などにつなげています。

VOC分析レポートを生かした具体的な取り組み例を教えてください。

2021年に「モスチキン」にスパイスをまぶした「ホットスパイスモスチキン」を夏季限定で提供したところ、スパイスが落ちて服が汚れたという声が多く寄せられました。企画自体は好評でしたので翌年に復活させたのですが、スパイスの粘度を高めた結果、同様の声は1件のみに減りました。また、冷凍デザート「ひんやりドルチェ」は、テイクアウト後に誤って冷蔵庫に保管してしまうことが多かったため、「冷凍」の表示を大きくしました。そのほか、ネット注文は店舗での待ち時間短縮を期待して利用されるわけですが、通常の列に並んでしまって結局時間がかかるという声をもとに、ネット注文時の受け取り場所を別にして分かりやすく案内表示したり、支払いをネット決済だけにしたりすることで苦情が減り、店舗の負担も軽減されました。

客観的な分析結果が判断の基軸となるVOC報告会に経営層も期待

毎月の報告会はどのように進められるのですか。また、報告会での報告内容も含め、SCSKサービスウェアの対応はいかがですか?

VOC報告会には、私たちリスク・コンプライアンス室のほか、営業、商品開発、マーケティングなどの部門の責任者が出席します。SCSKサービスウェアの担当者から、お客様目線に立った忌憚のない報告があり、続いて質問や議論が展開されます。また、重要なキャンペーンや価格改定の後には、さらに分析や意見交換をする会議を開催しています。お客様相談室が現在の体制になった2016年10月から始まり、当初の参加者は10名程度でしたが、重要だと考える関係者や部署が増えたことから、現在は役員や部長職など30名程度が出席しています。経営層もお客様の声を経営に生かすために期待しています。

私たちが分析すると、どうしても会社都合で分析してしまいがちです。外部から見た分析なので、お客様の本当の視点に立つことができますし説得力が違います。それぞれの部署に事情があっても、説得力が詰まったVOCがあればお客様本位の考えに立ち返ることができます。お客様の声をもとに改善する風土が社内に定着してきました。

今後のSCSKサービスウェアに対する期待をお聞かせください。

飲食業界の経験が豊富なだけでなく、製造、金融、ITなど幅広い業界を顧客に持っているため、多角的な分析ノウハウや知見をもたらしてくれます。接客を伴う業界では今、カスタマーハラスメントへの対応が懸案事項になっていますが、ハラスメント対応のために割かざるをえなかった時間を減らすことで、気持ちよくご利用くださるお客様によりよいサービスをご提供することができます。そのための知見や仕組みづくりについても提案を期待しています。

担当者からの一言

株式会社モスフードサービス
リスク・コンプライアンス室 お客さまサポートグループ
グループリーダー 佐々木 忍 様
どうしても会社都合で分析してしまいがちですが、外部から見た分析なので、お客様の本当の視点に立つことができますし説得力が違います。お客様の声をもとに改善する風土が定着してきました。

ABOUT 株式会社モスフードサービス

株式会社モスフードサービス

1972年設立。ハンバーガー専門店「モスバーガー」を全国および海外で展開するほか、“お客様にもっと楽しんでいただく”ことをコンセプトに、新しい飲食事業の開発も進めている。

https://www.mos.jp/

2023年3月 現在