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生成AI活用事例|アパレルECのカスタマーサポートを効率化!メール応対の自動化①

コンタクトセンター

公開日アイコン 公開日:2024年09月10日
/ 更新日アイコン 更新日:2024年09月06日

ECサイトのカスタマーサポートは、顧客との大切なコミュニケーションの場。

対面で直接相談にのることができないからこそ、顧客の困りごとをいかにスムーズに解決できるかが重要といえます。オンラインショッピングの利用が拡大している今、カスタマーサポートの効率化が求められています。

コンタクトセンターを全国に展開する当社では、この課題への取り組みとして生成AIに着目。生成AIを活用し、アパレルECサイトのカスタマーサポートの効率化を試みました。

今回はその具体例として、メール応対の担当割りを生成AIで自動化する取り組みについてご紹介します。

次回記事「②生成AIで返信メール文の作成を自動化する取り組み」はこちら。

アパレルの買い物の2割がECサイト。サポートの効率化が課題

ECの市場規模が拡大しているアパレル業界。経済産業省によると、2022年におけるEC化率は21.56%でした。これは、衣料品や服装雑貨等の約2割がECサイトから購入されていることを示しています。※1

BtoC-EC市場規模(衣料品・服装雑貨等)2018年~2022年
※1 出典:経済産業省| 令和4年度電子商取引に関する市場調査

そうしたなか、重要さを増しているのが、問い合わせ応対の効率化です。アパレル業界のECサイトは、店舗での購入と比較し、返品や交換が多い傾向にあります。これらの回答が遅れると、ECサイトそのものの満足度の低下につながりかねないことから、その応対にはスピードが求められます。今後のEC市場の拡大による相談件数の増加に適応していくためにも、カスタマーサポートの効率化がより一層重要となっています。

当社では、この課題の解決に向け、生成AIを活用したメール応対の効率化に取り組みました。以下では、その取り組みの一つをご紹介します。

検証①メール応対の担当割りを生成AIで自動化できないか?

メール応対の担当割りを生成AIで自動化

アパレルECのカスタマーサポートに届くメールは、難易度や緊急度もさまざまです。円滑に解決するには、管理者がサポート担当者のスキルを把握し、適切に担当割りを行う必要があります。しかし、この作業はメールを1件ずつ確認する必要があるので、時間がかかるのがネックでした。

そこで当社は、この作業を生成AIにより自動化し、効率を向上できるか検証しました。

メール応対の担当割りで考慮する要素

検証方法と評価のポイント

検証方法

検証の準備として、まず問い合わせ内容、緊急度、シチュエーションなどの条件と、それを処理するスキルを有する担当者のマトリクス表を作成し、生成AIに学習してもらいました。次に、顧客から届いたメールを、個人情報が分からないようマスキングをしたうえで生成AIに提示し、担当者を割り振ってもらいました。

生成AIに学習させた問い合わせ条件と担当者のマトリクス表(簡略イメージ)

評価のポイント

評価のポイントは次の2点です。

  1. カテゴリーや緊急度を理解し、担当者を適切に割り振りできているか(正答率)
  2. 管理者が手動で割り振る場合とのスピードの比較

検証環境

SCSK Generative AI(SCSK-GAI)※2

※2 出典:SCSK-GAIは、SCSKグループ役職員の業務効率化・生産性向上を促進するために提供されている生成AIサービスです。外部(クラウドサービスや生成AIサービスを提供する事業者)への入出力データの漏洩防止、多要素認証による認証強化、利用に際しての注意事項のガイドライン化などの対策を講じることでセキュリティを担保しています。

検証結果

約70%の時間を短縮!正答率は約80%と高いが、実用化にあたっては課題も

検証の結果、生成AIが適切に割り振りできた割合は約80%にのぼりました。とりわけ、生成AIが問い合わせを理解し、きめ細やかに分類できたことが好評価でした。

1件あたりに換算した判断時間は約1.5分。管理者が手動で行う場合は約5分かかっていたため、およそ70%の時間短縮となりました。

一方、課題として挙がったのは約20%におよぶ分類の誤りです。特に多かったのがキーワードの誤認です。例えば、「緑のブラウスの到着日を教えて」という問い合わせは、色のキーワードを含むからか、誤って「色変更」に分類されていました。今回のケースでは次の工程で気づくことができるため、大きな問題にはなりませんが、実運用ではこのような誤りをカバーするための運用ルールが必要であることを改めて実感しました。

生成AIによる振り分けの正答率と1件当たりの振り分け時間

今回の学び

今回の検証では、生成AIによる担当割りの正答率が、実用化で期待するレベルにまで達しませんでした。しかし、80%という正答率の高さは、生成AIが分類や分析を得意としていることを示しています。大量のデータを人が手動で行うよりも格段に早く仕分けることができるため、幅広い分野の業務効率化につながる可能性を秘めているといえるでしょう。

今回の検証が生成AIの活用をどのように進めるのかお悩みの皆様にとっての学びとなれば幸いです。

次回は引き続きアパレルメーカーの事例として、「②生成AIで返信メール文の作成を自動化する取り組み」についてご紹介します。

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