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G検定とは?取得のメリットや難易度、勉強方法を解説

研修 / トレーニング

公開日アイコン 公開日:2023年11月21日
/ 更新日アイコン 更新日:2024年04月18日

国全体として、デジタル推進人材を「5年間で230万人育成する方針」が2022年に発表されてから、約2年が経過しようとしています。その間、Chat GPTを始めとした生成型AIの台頭により、AIをビジネス活用した製品やサービスが次々と登場し、ビジネス環境も変化を続けています。この変化に呼応するかのように、AI・ディープラーニングの基礎知識を認定するG検定の受験者数も回を重ねるごとに増加。様々な企業の資格支援制度にも取り入れられるなど、注目度が一気に高まっていきました。

このコラムでは、G検定の概要や、取得のメリット、合格難易度や勉強方法について解説します。

G検定とは

G検定とは

G検定(ジェネラリスト検定)は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(以下、JDLA)が提供する、ディープラーニングをはじめとしたAIに関する様々な技術的な手法や、ビジネス活用のための基礎知識を認定する検定試験です。

ディープラーニングは、機械学習のひとつの学習手法です。AIの一部として機能し、様々なAIアプリケーションで中心的な役割を担う技術となっています。そのため、AIを最大限に活用する上で必要不可欠な技術と言えます。G検定では、ディープラーニングについての基本的な仕組みや構造の理解、事業活用に向けた能力や知識を有しているかを検定します。「AIで何ができて、何ができないのか」、「AIを活用する上で何が必要であり何に気を付けるべきか」という視点を得ることで、AIのビジネス活用や、AIを活用したプロジェクトをエンジニアやベンダーと一緒に推進するなど、ビジネスやキャリアの可能性を飛躍的に広げることができます。

AIとディープラーニングの関係性

AIとディープラーニングの関係性
AIとディープラーニングの関係性

G検定を通じて学べること

  • AIとは
  • AI領域における様々な技術手法
  • ディープラーニングとは
  • 産業活用事例
  • 活用のために知っておくべきこと
  • 数理・統計基礎知識

G検定には受験資格に制限が無いため、どなたでも受験が可能です。JDLAは、G検定の受験を「デジタル時代のビジネスに関わるすべての人」に推奨しています。

G検定の概要

概要 ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する
受験資格 制限なし
試験時間 120分
出題問題 知識問題(多肢選択式・200問程度)
受験会場 オンライン実施(自宅受験)
出題範囲
  • 人工知能(AI)とは(人工知能の定義)
  • 人工知能をめぐる動向
  • 人工知能分野の問題
  • 機械学習の具体的手法
  • ディープラーニングの概要
  • ディープラーニングの手法
  • ディープラーニングの社会実装に向けて
  • 数理・統計

* 詳細はシラバス 【JDLA公式】G検定とは「G検定の試験範囲(シラバス)と例題」 をご確認ください。

合格ライン 非公表
受験費用
  • 一般:13,200円(税込)
  • 学生:5,500円(税込)
試験日程 通常年3、4回

* 詳細は公式サイト 【JDLA公式】G検定とは「G検定の試験日程」 をご確認ください。

公式サイト https://www.jdla.org/certificate/general/

G検定の注目度と取得するメリット

G検定の注目度

近年、テクノロジーが大きく進歩し、データ予測・画像認識・音声認識・自然言語処理(NPL)などの技術が、多くのビジネスシーンで活用されるようになりました。そのような中、国内のデジタルリテラシーを底上げするために、経済産業省オブザーブのもと設立されたデジタルリテラシー協議会は、全てのビジネスパーソンが共通して身に付けるべきデジタルリテラシーの範囲(Di-Lite)のひとつに、「AI・ディープラーニング領域」を掲げ、それを学習するためにG検定の取得を推奨しています。

Di-Liteとは
出典:デジタルリテラシー協議会 Di-Liteとは (参照:2023-11-20)

AI・ディープラーニングは、これからのビジネスや、自身のキャリアを拡げるために必要なリスキリング領域であることから、G検定の受験者数は回を重ねるごとに増加しており、2023年に実施された第4回時点の累計受験者数は10万人以上に上ります。受験者は、ソフトウェア・情報系の方だけではありません。業種では、製造・金融・保険・不動産業、職種では、製造・営業・企画・マーケティング職などの受験者も増加しており、今後ますます資格取得ニーズの高まりが見込めます。

G検定累計受験者数と累計合格者数の推移

出典:一般社団法人日本ディープラーニング協会 「2023年 第4回 G検定」開催結果を発表(3,309名が受験し、2,390名が合格) をもとにSCSKサービスウェア株式会社作成(参照:2023-11-29)

G検定を取得するメリット

前述したように、G検定は、AI・ディープラーニングについての基礎知識を学び、「AIで何ができて、何ができないのか」、「AIを活用する上で何が必要であり、何に気を付けるべきか」といった視点を得ることができます。G検定を取得するメリットとして、以下が挙げられます。

  • 業務に活かせる
    AI・ディープラーニングの知識を身に付けることで、それらの技術を用いた業務の効率化や、より深い洞察力をもったデータ分析が可能になります。また、専門的な知識を有するエンジニアやベンダーとの連携をスムーズに行えるような期待もできます。その結果、顧客満足度の向上や新たなビジネスチャンスの創出などにも繋がる可能性を高めます。
  • 就職活動や転職活動に活かせる
    AI・ディープラーニング市場が拡大する一方で、それらを活用できるAI人材が不足していることが大きな課題です。AI・ディープラーニングに関する知識を証明することで、就職活動や転職の際にAI人材として周囲と差を付けることが期待できます。
  • 合格を証明する合格証やオープンバッジが得られる
    G検定に合格すると、合格証やオープンバッジが発行され、資格取得証明として活用できます。オープンバッジは、名刺やSNSなどに載せてAI・ディープラーニングに関する理解があることをアピールできます。

    合格証

    G検定・合格証

    オープンバッジ

    G検定・オープンバッジ

    出典:一般社団法人日本ディープラーニング協会 「G検定とは」 (参照:2023-11-29)

  • JDLA主催のコミュニティ「CDLE」に参加できる
    G検定に合格すると、JDLAが主催する日本最大のAIコミュニティ CDLE(Community of Deep Learning Evangelists)に参加できます。G検定に加え、E資格(エンジニア資格)の合格者が集まるイベントが開催されています。G検定に加え、E資格の合格者が集い合うことで、ディープラーニングを「使える人」と「作れる人」との人間関係が広がり、相互の学び合いや情報交換、スキルアップ、キャリアアップ、企業などの相談をすることができます。

企業でG検定取得を推奨するメリット

近年、DX推進や人的資本経営の実現を目指す企業において、人材育成に対する取り組みが加速しています。この一環として、業種や職種を問わず、G検定の取得を推奨する企業が増加しています。G検定を企業で取得推奨するメリットは以下のようなことが挙げられます。

  • 各部門内でそれぞれの業務に沿ったデジタル活用の新しい視点が生まれ、社内全体のDXの推進力を高める
  • デジタルに関する社内全体の議論の質が向上し、各所の連携や意思決定のスピードが加速することで、イノベーションが起こりやすくなる
  • 新しい技術全体への関心が高まることで、組織のリスキリング文化が育つようになる

「DXの推進がうまくいかない」、「デジタルツールの導入・活用がなかなか進まない」、「デジタル活用に対して社内に漠然とした不安がある」・・・これらの原因は、社内全体のデジタルリテラシー不足である可能性が高いです。G検定の取得を企業で推奨することは、これらの課題解決を後押しし、道具としてのAI・ディープラーニングをビジネスに活用して企業としての価値を高めるためにも有効です。

G検定の合格率と難易度

G検定の合格率

G検定の合格率は、60~70%ほどで推移しています。最新の2023年 第4回 G検定では、3,309名が受験し、2,390名が合格(合格率 72.23%)。

G検定の難易度

G検定は、合格率が60~70%ということから難易度は低いように思われますが、決してそうではありません。実際に受験した方のコメントから、以下のような理由が考えられます。

  • 出題範囲が幅広く、専門的な知識も問われる
    G検定の出題範囲はAIの定義から具体的な手法、また、数理・統計、法律・倫理といった幅広い知識が問われます。前提知識がない方にとっては、理解するまでに多くの時間を要するため、余裕をもった勉強計画を立てて準備を進める必要があります。
  • 出題問題数が多い
    G検定試験では、200問ほどの問題を120分間で回答しなければなりません。素早く回答できるように、内容をしっかりと理解しておく必要があります。
  • すでに知識をもった方が合格率を上げている
    G検定は、前提知識がない方や文系の方でも合格を目指せる検定です。ただし、受験者・合格者には、ソフトウェアや情報処理などに携わる方が受験していることが多い状況から、これらのすでに知識がある方が合格率を高めていると考えられます。

G検定に合格するためには、合格率だけを見て安心せずに、計画性をもって確実に知識を習得しておく必要があります。

G検定の勉強時間と勉強方法

G検定の合格に必要な勉強時間

JDLAが合格者に実施した調査によると、G検定受験までに要した学習時間は、「15~50時間」、期間は「3か月以内」が多いとのことです。AI・ディープラーニングに対する理解度や、ライフスタイルによって個人差があるので、自身の状況を考慮して余裕を持った勉強計画を立てましょう。

G検定の勉強方法

G検定は現状、過去問題が公開されていません。そのため、書籍や試験対策アプリ、講座や研修を利用した勉強方法が一般的です。

  • 書籍や試験対策アプリで学ぶ
    独学で合格を目指す場合は、試験対策本を用いて学習する方法が一般的です。スキマ時間でも学びやすい、試験対策アプリも人気の勉強方法です。好きな時間に学習したい方や、AI・ディープラーニングの知識がある程度身に付けている方には良い方法でしょう。一方で、それらの知識があまりない方にとっては、やや難易度が高いかもしれません。
  • 講座や研修に参加して学ぶ
    研修会社が提供する講座や研修に参加する学習方法です。短期集中で全体像を理解できるメリットがあります。また、分からないところを講師に直接質問も可能なため、より確実に合格を目指したい方や、AI・ディープラーニングの知識が不足している方、独学で学習したものの、分からない部分が残っている方は集合研修の受講がおすすめです。書籍やアプリを用いた独学とは異なり、他の学習者と一緒に学べるため、モチベーションの維持がしやすいといったメリットもあります。

G検定取得向け研修

「G検定資格取得向け研修」は、G検定対策の仕上げに最適な研修です。デジタルリテラシー協議会が推奨するデジタルリテラシー(Di-Lite)の一つであるG検定の合格テクニックやTipsをふんだんに盛り込んだ内容を、短時間で提供します。

G検定取得向け研修

当社は、G検定試験合格を目的とした、試験対策研修を提供しています。合格へ向けた受験テクニックを講師による解説を中心に、ポイントを抑えながら学ぶことで、実践的なG検定試験対策ができます。G検定試験をある程度学習後、理解できない部分や苦手分野がある方、G検定試験前に実践的な試験対策がしたい方におすすめです。一社向けに提供しているので、全社のデジタルリテラシーを底上げする機会としてご活用ください。

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