「ソフトウェアエンジニア」とは？
DX推進における役割・必要スキルを解説

研修およびトレーニング

公開日アイコン公開日：2023年12月15日
/ 更新日アイコン更新日：2024年04月18日

デジタル技術の急速な進化を遂げている近年。多くの企業や組織はそれらを活用し、ビジネスモデルや経営戦略、業務プロセス、顧客体験などを変革し、新たな価値を創造する取組み（DX）に力を注いでいます。DXを推進するうえで、業務で用いるシステムやソフトウェアの設計・開発・実装・運用は欠かせません。

このコラムでは、経済産業省と独立情報処理推進機構（IPA）が策定した「デジタルスキル標準」において、「DX推進スキル標準」の人材類型の1つである「ソフトウェアエンジニア」について、その役割や必要なスキル、他の人材類型との関わりを解説します。

INDEX

1. 「デジタルスキル標準」とは

「デジタルスキル標準」の概要
「DX推進スキル標準」の概要

2. 「ソフトウェアエンジニア」とは

「ソフトウェアエンジニア」の定義
DX推進における「ソフトウェアエンジニア」の役割
「ソフトウェアエンジニア」に求められる知識・スキル

3. 「ソフトウェアエンジニア」と他の人材類型の関わり

3. まとめ

「デジタルスキル標準」とは

「デジタルスキル標準」の概要

「デジタルスキル標準」は、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構（IPA）が策定した、DX時代におけるデジタル人材の育成と確保・個人の学習に関する指針です。デジタル化への受容を高め、DXを推進するために必要な人材像や知識・スキル・学習項目が明確化されています。

企業は、「デジタルスキル標準」を参照し、社内研修の設計や採用基準の見直しなど、人材育成・確保の取り組みに活用できます。個人としても、所属する組織の役割や自身のキャリアビジョンを踏まえ、必要な知識・スキルを認識するための指針として活用できます。

「デジタルスキル標準」は、全てのビジネスパーソンを対象とした「DXリテラシー標準」と、DXを推進する中心的な人材を対象とした「DX推進スキル標準」の2種類で構成されています。今回ご紹介する「ソフトウェアエンジニア」は、後者に含まれており、DXを推進する中心的な人材類型の1つです。

デジタルスキル標準の構成 — 出典：経済産業省デジタルスキル標準概要をもとにSCSKサービスウェア株式会社作成（参照：2023-12-7）

＼「デジタルスキル標準」の詳細は以下をご覧ください／

トピックス

DX人材不足の解消に！経済産業省「デジタルスキル標準」の活用方法とは？

「デジタルスキル標準」の内容や企業における活用方法について解説します。DX人材の育成・確保を検討している方は、ぜひご覧ください。

「DX推進スキル標準」の概要

「DXスキル標準」は、DXを推進する中心的な人材を5つの類型（ビジネスアーキテクト／デザイナー／データサイエンティスト／ソフトウェアエンジニア／サイバーセキュリティ）に分けています。それぞれの役割や習得すべきスキル・学習項目^*が示されているため、DXを推進する際に、どのような人材が必要で、何を学ぶべきか把握できます。

^*各人材の役割や習得すべきスキル・学習項目はこちらをご参照ください。
デジタルスキル標準 ver1.1（分冊版：DX推進スキル標準）(PDF:2.7 MB) （参照：2023-12-7）

推進スキル標準の人材類型 — 出典：経済産業省デジタルスキル標準「DX推進スキル標準」についてをもとにSCSKサービスウェア株式会社作成（参照：2023-12-7）

ビジネスアーキテクト	DXの取り組みでの目的を設定し、関係者の協力関係を構築、目的達成に向けてプロセスを進める人材
デザイナー	ビジネスや顧客・ユーザーの視点から、製品・サービスの方針や開発プロセスを決め、製品・サービスをデザインする人材
データサイエンティスト	データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データ収集・解析する仕組みの設計・実装・運用をする人材
ソフトウェアエンジニア	デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用をする人材
サイバーセキュリティ	デジタル環境でのサイバーセキュリティリスクの影響を抑制するための対策をする人材

「ソフトウェアエンジニア」とは

「ソフトウェアエンジニア」の定義

「DX推進スキル標準」における「ソフトウェアエンジニア」は、以下のように定義されています。

DXの推進において、デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う人材

出典：デジタルスキル標準 ver1.1（分冊版：DX推進スキル標準）(PDF:2.7 MB) （参照：2023-12-7）

「ソフトウェアエンジニア」は、デジタル技術を活用した製品・サービスを、企画・構想段階から形のあるものへと具体化していき、DXの成果や価値を具体的な技術を通じて生み出す人材です。

DX推進における「ソフトウェアエンジニア」の役割

DX推進における「ソフトウェアエンジニア」の役割は、」以下の4つです。

フロントエンジニア	デジタル技術を活用したサービスを提供するためのソフトウェアの機能のうち、主にインターフェース（クライアントサイド）の機能の実現に主たる責任を持つ
バックエンドエンジニア	デジタル技術を活用したサービスを提供するためのソフトウェア機能のうち、主にサーバーサイドの機能の実現に主たる責任を持つ
クラウドエンジニア/SRE（Service Reliability Engineering）	デジタル技術を活用したサービスを提供するためのソフトウェア開発・運用環境の最適化と信頼性の向上に責任を持つ
フィジカルコンピューティングエンジニア	デジタル技術を活用したサービスを提供するためのソフトウェアの実現において、物理領域のデジタル化を担い、デバイスを含めたソフトウェア機能の実現に責任を持つ

これらの役割から「ソフトウェアエンジニア」に期待されるアクションは、以下3点です。

高い技術力を通じて自社や自組織の競争力向上に貢献する
変化の激しい状況下において、他のステークホルダーと柔軟に連携し価値を生み出す
自らの手で競争力のあるソフトウェアを創り出せる水準の高い技術力を維持・獲得する

「ソフトウェアエンジニア」に求められる知識・スキル

5つの人材類型に求められるスキルや学習項目^*は、各人材類型のDX推進における役割ごとに明確に示されています。「ソフトウェアエンジニア」においても、「フロントエンジニア」「バックエンドエンジニア」「クラウドエンジニア／SRE（Service Reliability Engineering）」の「フィジカルコンピューティングエンジニア」の4つの役割ごとに示されています。

^* 5つの人材類型に求められるスキルや学習項目はこちらをご参照ください。
デジタルスキル標準 ver1.1（分冊版：DX推進スキル標準）(PDF:2.7 MB) （参照：2023-12-7）

それぞれに求められる知識・スキルは、以下です。

①フロントエンドエンジニア

求められる知識・スキル	必要になる場面
「フロントエンドシステム開発」等を中心とする「ソフトウェア開発」に関するスキル	ソフトウェアやアプリケーションについて、ユーザーから見たフロント領域（インターフェース側）の機能の開発を行う場面
「デザイン」や「プロダクトマネジメント」に関するスキル、「プロジェクトマネジメント」や「セキュリティ技術」に関するスキル	ソフトウェアやアプリケーションについて、ユーザーから見たフロント領域（インターフェース側）の機能の開発を行う場面

②バックエンドエンジニア

求められる知識・スキル	必要になる場面
「バックエンドシステム開発」や「クラウドインフラ活用」等を中心とする「ソフトウェア開発」に関するスキル	ソフトウェアやアプリケーションの、サーバー側の機能の開発を行う場面
「データエンジニアリング」、「プロジェクトマネジメント」、「セキュリティ技術」に関するスキル	ソフトウェアやアプリケーションの、サーバー側の機能の開発を行う場面

③クラウドエンジニア／SRE（Service Reliability Engineering）

求められる知識・スキル	必要になる場面
「クラウドインフラ活用」や「SREプロセス」等を中心とする「ソフトウェア開発」に関するスキル	クラウドを活用したソフトウェアの開発・運用環境の最適化を行う場面
「データエンジニアリング」、「プロジェクトマネジメント」、「セキュリティ技術」に関するスキル（特に「セキュリティ運用・保守・監視」）	クラウドを活用したソフトウェアの開発・運用環境の最適化を行う場面

④フィジカルコンピューティングエンジニア

求められる知識・スキル	必要になる場面
「フィジカルコンピューティング」のスキル項目に含まれる通信・ネットワークや関連する先端技術等に関するスキル	物理空間のデジタル化を行う場面
「システムエンジニアリング」に関するスキル、「セキュリティ技術」に関するスキル	物理空間のデジタル化を行う場面

「ソフトウェアエンジニア」と他の人材類型の関わり

DX推進において5つの人材類型は、上下関係はなく、お互いに協働関係を構築することが重要です。以下は、「ソフトウェアエンジニア」が他の人材類型と連携して進める業務の一例です。

「ソフトウェアエンジニア」が連携して進める業務（一例）

ビジネスアーキテクト	新技術・ツールを起点とした製品・サービスのアイデアの検討顧客ニーズに基づく開発要件の定義やソフトウェアアーキテクチャの設計
デザイナー	デザインガイドライン、ユーザビリティ、倫理的妥当性を考慮した製品・サービスの開発、評価、検証
データサイエンティスト	新たなデータ収集・蓄積・解析・可視化の仕組みと既存のシステム等との連携・接続の仕組みの検討
サイバーセキュリティ	新製品・サービスのリスクに応じたセキュリティルールや対策の策定

まとめ

今回は、DXを推進する中心的な人材の1つである「ソフトウェアエンジニア」について、役割や必要なスキル、他の人材類型との関わりを解説しました。DX推進における「ソフトウェアエンジニア」は、デジタル技術を活用した製品・サービスを、企画・構想段階から形のあるものへと具体化していき、DXの成果や価値を具体的な技術を通じて生み出す重要な人材類型です。

当社では、企業のDXを進める人材を、幅広い研修／トレーニングで育成しております。「DX人材を育成して企業の競争力を高めたい」、「所属する組織での活躍やキャリアビジョンの実現に向けてスキルアップしたい」などお考えの方は、ぜひご相談くださいませ。適切な研修／トレーニングのご案内もさせていただきます。

「ソフトウェアエンジニア」のスキル対応コース（一例）

UiPath 教育サービス

RPA導入に失敗しないために必要な対象業務の評価方法から、ロボット (ワークフロー) の作成まで豊富な知識と経験を持つUiPath 公認トレーナーが、演習を中心とした "実務に活かせる" 内容のトレーニングを提供します。

Microsoft Power Automate 向け研修

Microsoft Power Automateで何ができるのかという概要や、Microsoft社のクラウドサービスとの連携方法など業務自動化・効率化の方法を実践的な演習を通じて学習します。

Microsoft Power Automate Desktop 向け研修

Microsoft Power Automate Desktopを使用して、メールの自動送信、複数のファイル処理、Webページの操作方法、およびExcelのデータ処理を実践的な演習を通じて学習します。

1日でわかる！Webテクノロジー～Webシステムの用語と仕組みを学ぼう～

Webテクノロジーを構成するHTML、CSS、JavaScript、HTTP、アプリケーションサーバーなど、一連の各種要素技術の基本的な仕組みと用語について学習します。デモンストレーションや簡単な演習の積み重ねにより、概念や用語を具体的な知識として身につけます。

さわってわかるクラウド入門 - AWS・Azure・GCP対応 -

クラウドコンピューティングの概要とパブリッククラウドで提供される基本的なサービスについて学びます。Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platformの基本的なサービスを題材に、各クラウドサービスの役割と使用方法について解説および実習で理解を深めます。

ビジネスパーソンのためのクラウド入門

クラウドコンピューティングの発展と普及により、様々なビジネスシーンにおいて活用の幅が広がりつつあります。本コースでは、細かい技術的な解説は抜きにして、クラウドとは何かという基本から、メリットとデメリット、クラウドを使ってどのようなサービスを作れるかなど、これからクラウドをビジネスに活用するための基礎的な知識を習得します。